エステサロンの開業資金はいくら必要?必要資金と資金調達方法を解説

エステサロンの開業資金はいくら必要?必要資金と資金調達方法を解説

本記事では、エステサロンの開業を検討されている方へ、エステサロンの開業に必要な資金や調達方法をはじめ開業の流れまで詳しく解説します。

「エステサロンの開業にはどれくらいの資金が必要なんだろう?」
「エステサロンを開業するのに資格は必要?」

エステサロンの勤務経験や実技があったとしても「開業」となると、わからないことばかりではないでしょうか?エステサロンを開業するためには開業資金はもちろんのこと、さまざまな準備が必要になります。

本記事では、エステサロンを開業したい方に向けて開業資金や開業するまでの流れ、資金調達方法を解説しています。エステサロンの開業に興味がある方は、参考にしてみてください。

エステサロンの開業には資格は必要?

エステサロンの開業には資格は必要?

エステサロンを個人で開業する場合、何らかの資格を取得しなければならないと考えている方は少なくないと思います。

結論からお伝えすると、日本でエステサロンを開業するために必須な資格はありません。エステの技術や知識さえあればエステサロンは開業することが可能です。

ただし、フェイシャルエステでシェービングの施術を行う場合は理容師の資格と保健所への美容所登録が必須となります。

先述した通り、エステサロンを開業するために必要な国家資格やライセンスはありませんが、民間団体が行っている民間資格は複数存在しています。

エステサロンを開業する上で民間資格を取得しているとお客さんからの信頼獲得や集客に有利になります。民間資格の中でも特に役に立つ資格は、エステティック協会が実施している「日本エステティック協会の資格制度」です。

日本エステティック協会の資格制度とは?

日本エステティック協会は1972年に設立された職能団体です。エステティシャンの教育や養成、資格認定などを主に行っており、7つの資格を取得することができます。(※)

認定エステティシャンは、フェイシャルケアやボディケアの技術や理論をきちんと理解し、実践できる能力を持っているエステティシャンに与えられる資格です。

日本エステティック協会で資格を取得するためには以下の2つの条件を満たす必要があります。

  1. エステティシャンセンター試験に合格すること。
  2. 認定校にて300時間以上のコースか1000時間以上のコースを修了。もしくは、1年以上の実務経験があること。(※2)

試験には、筆記試験と技術試験があります。

筆記試験では4 肢択一のマークシート式の問題が100問出題されます。技術試験では、モデルを使用してフェイシャルやボディの手技、コンサルテーションの作成を行います。

(※)協会について | 日本エステティック協会
(※2) 資格・検定 | 日本エステティック協会

エステサロンの開業に必要な届出書類

エステサロンの開業は特別な国家資格やライセンスは不要です。そのため、基本的にはどのような方でもエステサロンを開業することが可能です。

しかし、個人で開業をする場合は「開業届」を提出する必要があります。

開業届の正式名は、「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。事業を開始する際や事務所の新設、増設、移転や事業を廃止した際に税務署へ提出する書類です。

開業届は、原則として事業開始から1ヵ月以内に最寄りの税務署へ提出する必要があります。税務署の窓口が空いていれば、手続きは1時間前後で行うことができます。

また、開業届を提出する際に費用は掛かりません。開業届は税務署から書類をもらえるほか、国税庁のサイトからもダウンロードできます。

開業届の手続き方法

1.開業届に必要事項を記入

開業届は提出用と控用の2枚記入を行います。

1.開業届に必要事項を記入

  1. 納税地となる住所、氏名、生年月日、個人番号(マイナンバー)、職業を記入し印鑑を押します。
  2. 届出の区分の開業欄に丸を付けて開業場所の住所と名前を記入します。
  3. 所得の種類欄の事業所得にチェックを入れます。
  4. 開業・廃業日に申し込み日を記入します。
  5. 開業をする際に「青色申告承認申請」を行う場合は「有」にチェックを入れます。加えて「課税事業者選択届出書」を提出する際は「有」にチェックを入れましょう。
  6. 事業の概要欄にはどのようなエステサロンを開業するのか細かく記入しましょう。
  7. 開業するエステサロンでスタッフを雇用する場合は給与等の支払の状況を記入します。
  8. 税理士がいる場合は税理士の屋号や住所、電話番号を記入します。

2.税務署へ提出

開業届を記入したら最寄りの税務署へ提出をします。窓口での提出もしくは、郵送で提出することも可能です。いずれも、開業届の控えはとても大事な書類なため、紛失してしまわないようにきちんと保管をしましょう。

開業freee

税務署や国税局のHPで入手できる届出書の他にも、オンラインで開業届が作成できるサービスがあります。

「開業freee」は、オンライン上で開業届を作成できるだけでなく、そのまま申請まで行うことができる無料サービスです。

書類上の難しい単語も分かりやすいガイドが付いているので安心です。初めて開業をされる方で書類の手続きに苦手意識がある方におすすめです。

エステサロンの開業に必要な備品

エステサロンの開業に必要な備品

こちらの項目では、エステサロンを開業する際に最低限必要な備品を紹介します。エステサロンの開業準備で備品をそろえる際の参考にしてみてください。

エステサロンを開業する上で最低限揃えるべき備品

  • エステ用ベッド
  • エステ機器
  • ワゴン
  • スツール
  • ホットタオルキャビネット
  • パソコン
  • お店用の電話
  • カルテ、契約書
  • お客さん用のガウン、タオル、シーツ
  • ペーパーブラ・ショーツ
  • 化粧品
  • タオル
  • エステ着
  • コットン、ガーゼ、マスク
  • 消毒、クリーン
  • インテリアグッズ
  • 事務用品
  • BGM
  • スチーム
  • スパチュラ
  • カウンセリング時のテーブル、椅子

エステサロンの備品は提供するサービス内容によってそろえる備品がかわってきます。

オイルマッサージのみを提供する場合はサロン用ベッド、お客さん用のガウン、タオル、
シーツ、オイルがあれば施術自体は可能です。

トータルビューティーサロンを考えている場合はエステ機器をいくつか用意したり、化粧品、その他にも用意するべき備品が出てきます。

今後備品を購入する予定の方は、まず先にエステサロンのコンセプトや規模、備品にかけられる予算などを総合的に判断し、備品を購入しましょう。

エステサロンの開業の流れ

エステサロンの開業の流れ

エステサロンを開業する場合ある程度の時間をかけて準備をする必要があります。

事前にスケジュールを立て、流れを決めておくとスムーズにエステサロンを開業できるでしょう。エステサロン開業までのステップは以下の通りです。

  1. コンセプトの設定
  2. 事業計画書の作成
  3. エステサロンの物件探し
  4. 資金調達
  5. エステサロンの内装工事
  6. 販促計画と告知の準備
  7. 備品や設備の購入
  8. スタッフを雇う場合の求人
  9. 開業

次はステップ別の詳細をチェックしてみましょう。

①コンセプトの設定

エステサロンを開業する際に始めに行うことは「コンセプトの設定」です。コンセプトを設定する理由は、「サロンの軸」を保つためです。

  1. 誰のために行うのか?
  2. どんな悩みを持っている方が来るのか?
  3. どんなエステサロンにしたいのか?

これらを明確にしておくことで次に自分自身がとるべき行動が徐々に見えてきます。

コンセプトを設定する際は、自分自身の強みとなる部分を分析した上でどんなお客さんが想定されるのか、地域のニーズはどのようなものなのかを考慮し設定しましょう。

他のサロンと差別化をするために年齢層や性別を中心にお客さんの人物像を決めておきましょう。ターゲットを絞りだすことで悩みを持ったお客さんの心に刺さるようなサービスを提供できます。

ここで注意するポイントは、たくさんのお客さんに来てほしいからとサロンコンセプトやターゲットをうやむやにすることです。コンセプトやターゲットを明確にしていないエステサロンは、お客さんに選ばれにくくなる傾向にあります。

②事業計画書の作成

コンセプトやターゲットが決定したら事業計画書の作成を行います。

事業計画書はエステサロンの経営の基礎となり、金融機関や公的機関から融資や助成金を受ける際に必要となります。そのため、手間がかかっても細かく作成することが重要です。

事業計画書は決まった形式があるわけではありません。だからこそ必要となる要件をきちんと整理する必要があります。事業計画書に必ず記載しておくべき項目は以下の通りです。

  1. 企業理念
  2. 経営方針
  3. 事業内容
  4. 事業展開戦略

この4点は記載漏れがないようにしましょう。

事業計画を作成する際は、エステサロンのメニューと料金設定についても計画を立てます。個人のエステサロンは、価格競争になると経営が不安定になりやすい傾向にあります。

料金設定を安くすると経営が厳しくなり自分自身も苦しくなりますが、逆に高く設定すると客足が遠のく可能性があります。

料金設定を行う際は他のエステサロンの料金相場をリサーチした上で、想定されるお客さんに合わせた料金を設定しましょう。

料金は一度設定してしまうとなかなか値下げや値上げがしにくいものです。そのため、長期的な視点で考えることが重要となります。

③エステサロンの物件探し

開業にあたってテナントや間借りをする場合は開業資金を計算しましょう。開業資金を計算し、資金はいくらぐらい確保できるのか、その中からどの程度の金額を物件にあてることができるのかを計算します。

融資を受ける場合は、それ以外のお金をどれだけ用意できるのかも合わせて考えましょう。開業資金の計算ができたら物件探しのスタートです。

テナントや間借りの場合はお店のエリアや物件のイメージを事前に固めておきます。

エステサロンは立地条件によって収益が異なります。そのため周囲の状況をチェックし、競合のエステサロンも事前にリサーチしておく必要があります。

  1. 物件周辺の人通り
  2. 最寄駅からのアクセス
  3. 周辺にスーパーがあるか
  4. 住宅地があるのか

などターゲットにあったエリアで物件を選びましょう。

④資金調達

理想的な物件を見つけることができたとしても開業資金が不足している場合もあります。資金が不足している場合は、助成金を活用するのも選択肢のひとつです。

助成金は、適切な雇用を作れると判断した事業にのみ交付される支援金です。1人以上のスタッフを雇用することが条件となっている場合もあります。助成金は課税対象となるものの融資とは異なるため、返済の必要がありません。

ただし、助成金を活用するためには細かい内容があるため、事前に厚生労働省のホームページを確認しておきましょう。

⑤エステサロンの内装工事

内装工事を行う場合は、エステサロンのコンセプトに合った内装を実現してくれる内装業者を選定します。物件の条件などもあるので事前に管理人へ確認し、内装のイメージと物件内の導線も考慮し計画しましょう。

⑥販促計画と告知の準備

次に販促計画と告知準備を開始します。

広告にはさまざまな種類があり、予算内で効率よく宣伝するためにコストの低い広告媒体から考えていきましょう。エステサロンの広告の種類は以下の通りです。

  1. ポスティング
  2. 新聞折込チラシ
  3. 交通関係広告
  4. フリーペーパー
  5. 検索連動型広告
  6. クーポンサイト
  7. SNS

各広告にはメリットとデメリットがあります。ターゲットの目に入りやすく、なおかつエステサロンに合った方法を選択しましょう。

エステサロンの集客方法のひとつにホームページの作成も最適です。ホームページならサロンの特徴や魅力を発信しやすいため制作しておくと良いでしょう。

さらに、予約システムを導入することで、お客さんが24時間いつでもどこでも予約を取ることができます。電話予約の場合は対応しきれず、予約の取りこぼしが起こる可能性が考えられます。予約システムを活用すれば予約の取りこぼしを防止でき、集客につなげることができます。

⑦備品や設備の購入

内装工事の様子を見ながら備品の準備を開始します。備品については、サロンで必要になるエステ機器から事務用品まで一度メモに書き出してみましょう。

すぐに手配できるものもあれば手配に時間がかかるものもあるので、余裕を持って準備しましょう。

⑧スタッフを雇う場合の求人

エステサロンの開業に合わせてスタッフを雇いたい場合は、開業に間に合うように求人を出しましょう。

スタッフを雇う場合は、条件を整理してから求人を出します。

  1. 勤務形態
  2. 報酬額
  3. エステ経験の有無

などを事前にまとめましょう。

⑨開業

エステサロンのオープン日前に税務署で「開業届」を提出します。開業届は事業開始の事実から1ヵ月以内の提出のため、エステサロンのオープン後でも問題ありません。
しかし、開業届の出し忘れを防止するためにも、オープン前に提出するのが最適です。

倒産しないエステサロンを作るためには?

倒産しないエステサロンを作るためには?

倒産しないエステサロンを作るためには何をするべきなのでしょうか?倒産しないエステサロンを作るためのポイントを解説していきます。

資金は余力を残す

エステサロンを開業する際は、初期投資をできるだけ抑えて資金に余力を残しましょう。資金に余裕があるとないとでは、開業後の経営の難易度が変わってきます。

メニューを作りすぎない

さまざまな種類のメニューを取り入れることでお店のコンセプトがブレてしまい、エステサロンの特徴や魅力がお客さんに伝わりにくくなります。

たくさんのメニューを取り入れるのではなく、自分自身が最も得意とする施術でメニューを作りましょう。

施術内容をきちんと絞り込むことで、必要となるエステ機器も限定されます。そうすると初期費用も抑えられるため経済的な負担を減らせます。

競合店との差別化を作る

エステサロン業界は、競争の激しい業界といわれています。そのため、お店周辺の競合店との差別化を図ってオリジナリティをアピールすることが大切です。

自分自身が得意な施術方法を見極めて、それに合ったコンセプトを設定しましょう。個性的な内装や、化粧品にこだわることで特別感を演出することもできます。

エステサロンの開業スタイル

エステサロンの開業スタイル

エステサロンを開業する場合4つの開業スタイルがあります。どのようなエステサロンを作っていきたいのか、各開業スタイルを見ながらイメージをしてみてください。

テナントを借りて開業する

テナントを借りて開業するスタイルです。

コストはかかるものの、サロンのコンセプトに合った雰囲気作りや場所選びなどを自由に設定できます。

エステに足を運ぶ方の中には、エステサロンでしか味わえない「非日常的な空間」を求めていることも少なくありません。そのため、壁紙から照明などのインテリア、内装をおしゃれにできるテナントは集客に有利です。

テナントで開業する場合は、場所選びも重要視されます。ターゲットに合わせて駅からのアクセスや駐車場の有無も考慮することが大切です。

自宅で開業する

自宅で開業するスタイルで、初期費用を抑えられる方法です。自宅をエステサロンにすると物件の契約費用や光熱費、通信費を抑えられます。

開業直後は赤字となるケースもあり、収益が不安定です。しかし、自宅で開業することで金銭面のリスクを最小限にすることが可能です。

自宅で開業すると、業務以外の時間を自分の時間にあてられるのもメリットのひとつでしょう。

ただし、自宅で仕事をすることとなるため、オンとオフの切り替えが難しい上にお客さんに自宅を知られてしまうという欠点があります。

レンタルサロンで開業する

レンタルサロンとは、物件を借りるのとは異なり敷金や礼金、家賃が一切かかりません。リーズナブルなレンタル料だけで施術ベッドや設備がある部屋を借りることができます。

レンタル料は利用した時間分だけを支払います。

レンタルサロンは低コストでサロンの開業ができる反面、自分専用の店舗のようにオリジナルな空間を作ることは難しくなります。低コストでサロンを開業できるため、テスト的に開業したい方に最適です。

出張エステサロンとして開業する

出張エステサロンとは、お客さんの依頼によって自宅や会社、宿泊先に出張してエステを行うスタイルです。オールハンドでの施術を低コストで行いたい方には最適です。

一方でエステ機器を利用した施術を行う場合は持ち運びが難しいため、小型のエステ機器を用意する必要があります。

テナント代がかからないというメリットがある反面、無店舗型のためお客さんから信頼を獲得するのが難しいです。

エステサロンの開業に必要な資金の内訳

エステサロンの開業に必要な資金の内訳

実際にエステサロンの開業にはいくらぐらいの資金が必要になるのでしょうか?こちらの項目では、自宅でエステサロンを開業した場合の内訳と物件を借りた場合の内訳を記載しています。
〈自宅でエステサロンを開業した場合の例〉

内容 目安金額
内装工事費 200,000円
施術用ベッドやテーブルなどの家具類 300,000円~500,000円
消耗品(化粧品、タオル、シーツ) 100,000円
エステ機器 100,000円~500,000円
広告宣伝費(チラシ、名刺、HP作成) 100,000円
家電(洗濯機、プリンター、パソコン) 100,000円~150,000円
運転資金(家賃の5ヵ月分を想定) 400,000円
合計 1,300,000円

自宅の一部をエステサロンとして開業した場合、約1,300,000円の資金が必要となります。

〈物件を借りてエステサロンを開業した場合の例〉

内容 目安金額
敷金(東京都内のマンションの一室) 80,000円
礼金(1ヵ月分の家賃) 礼金(1ヵ月分の家賃)
家賃(1年分の家賃) 960,000円
仲介手数料 80,000円
内装工事 200,000円
施術用ベッドやテーブルなどの家具類 300,000円~500,000円
消耗品(化粧品、タオル、シーツ) 100,000円
エステ機器 100,000円
広告宣伝費(チラシ、名刺、HP作成) 100,000円
家電(洗濯機、プリンター、パソコン) 100,000円~150,000円
運転資金(家賃の5ヵ月分を想定) 400,000円
合計 2,500,000円

家賃が1ヵ月8万円の物件を借りて開業した場合は、物件の初期費用で300,000円前後が必要とされています。加えて、保証金で家賃の1年分を先に支払う場合は960,000円かかります。

自宅で開業した場合にも物件を借りて開業した場合でも、工夫をすることで負担を削ることができます。

例えば、施術用ベッドを中古で購入するなど広告宣伝部分をリーズナブルなところに依頼をすれば、記載した金額より安くすることはできるでしょう。

開業に必要な借入額と自己資本額

開業に必要な借入額と自己資本額

「エステサロンの開業に必要な資金の内訳」の項目で解説したように、エステサロンを開業する際にはそれなりの資金が必要となります。

全てを自分自身で賄える場合は問題ありませんが、自分自身で全てを賄えない場合は開業をするにあたって足りない部分のお金を借りる必要が出てきます。

借入とは?

借入とは、お金や品物を借りるという意味です。

一般的には企業、銀行やクレジットカード会社などの金融機関からお金を借りることです。借入の例には、事業の運転資金として銀行から受ける融資、生活費の補填で利用するクレジットカードのキャッシングが挙げられます。

自己資本とは?

自己資本とは、企業が安定した運営を行うために必要な資金の中から返済する必要がない資金の調達源泉のことをいいます。

それでは、エステサロンを開業する上で自己資本額がいくらあれば借入を行うことができるのしょうか?

実は、借入額と自己資本額には決まった比率がありません。

実際に、自己資本額が数十万だったのに800万の借入ができたという方もいます。逆に、自己資本額が700万あったのに、500万の借入れしかできなったという場合もあります。

そのため、自己資本額がたくさんあれば大きく借入できるとは考えないほうが良いでしょう。

しかし、借入を行う場合、自己資本金を借入金の30%準備していないと審査が難しいという情報もあります。(※)

また、借入をする場合はリスクについても考えなければなりません。借入は、いずれ返済をしなければならないお金です。それも借入時の金額に金利をプラスして返していかなくてはいけません。借入を増やしたことで金利を払うのはあなた自身です。

後になって「あの時、借入を増やしていなければ、早く軌道に乗せることができたかも…」と後悔することがないように、借入をする場合は慎重に考えましょう。

おすすめの資金調達方法

おすすめの資金調達方法

エステサロンを開業するにあたり、銀行からお金を借りよう!と考える方もいることでしょう。しかし、銀行は過去の実績に基づき貸付を行うため、実績がない状態では借りられない可能性もあります。

それでは、開業するための資金はどのように調達すれば良いのでしょうか?こちらの項目では、資金調達におすすめの方法を6つ解説していきます。

日本政策金融公庫「女性・若者・シニア起業家資金」

対象者 女性または35歳未満か55歳以上の方であって、 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
資金の使い道 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする資金
融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
ご返済期間 〈設備資金〉20年以内<うち据置期間2年以内
〈運転資金〉7年以内<うち据置期間2年以内
担保・保証人 お客さまのご希望を伺いながらご相談させていただきます。

日本政策金融公庫は、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の4つが統合され設立されました。

日本政策金融公庫の目的は、国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金調達を支援することです。基本理念のひとつに、「民間金融機関の補完」を掲げているため、銀行では融資してもらえない事業に対しても融資を行っています。

融資制度のひとつに「女性、若者/シニア起業家支援資金」という制度があります。女性、若者/シニア起業家支援資金制度は、女性もしくは35歳未満か55歳以上で新たな事業を始める、または事業を開始して7年以内の方を対象とした融資です。

融資限度額は7200万円までとされており、運転資金は4800万円まで融資を受けられます。返済期間については設備資金の場合は20年以内、運転資金の場合は7年以内です。

金利については下記の画像をご覧ください。

金利について

画像を見ると分かる通り、無担保・無保証の場合よりも担保・保証人を立てる方が金利が低くなります。

さらに、新規開業資金として融資を受ける場合は特別利率A、特別利率Bというものがあります。これらが適用となれば金利を低くすることが可能です。

〈特別利率が適用となる条件〉

適用される利率 要件
特別利率A 以下の1~3の要件に該当しない方
特別利率B 1.技術・ノウハウ等に新規性がみられる方
2.地方創生推進交付金を活用した起業支援金の交付決定を受けて新たに事業を始める方
特別利率C 3.地方創生推進交付金を活用した起業支援金及び移住支援金の両方の交付決定を受けて新たに事業を始める方

金利が高ければ当然返済額も増えます。

少しでも返済額を減らしたい場合は担保が必要か不要か、特別利率に該当するかどうかを担当者との相談できちんと決めていきましょう。

信用保証協会

〈創業等関連保証〉

保証限度額 1,500万円以内
対象 中小企業等経営強化法に基づく創業者、新規中小企業者

〈創業関連保証〉

保証限度額 2,000万円
対象 産業競争力強化法に基づく創業者

信用保証協会とは、使用保証協会に基づき中小企業や小規模事業者に資金調達の支援を目的に設立された公的な機関です。

公的機関である「信用保証協会」は、事業者の債務保証を行うため市中の金融機関からの融資を受けやすくすることができます。

債務保証があると、金融機関の融資先事業者が倒産などで借入金の返済が困難になった場合にも、信用保証協会が金融機関に財務を肩代わり返済します。

そのため、金融機関は貸付金の回収ができます。この制度により、金融機関は中小企業者へ融資がしやすくなります。

創業関連保証と創業等関連保証の異なる部分は、創業等関連保証には自己資金額の要件があるのに対して、創業関連保証には自己資本金の要件がないということです。

信用金庫

信用金庫とは地域の方々が利用したり会員となることで、互いに地域の繁栄を図る「相互扶助」を目的とした金融機関です。中小企業や個人を主な取引先としています。一定の地域のみで営業をしており、利用者から預かった資金は地域の発展に生かされています。

信用金庫から融資を受ける場合は、信用金庫の会員になる必要があります。そして、以下の条件を満たさなければなりません。

  1. 信用金庫のある住所内に事業所または住居を有するもの
  2. 信用金庫のある住所内で勤労をしているもの
  3. 信用金庫のある住所内に事業所を有するものの役員
  4. 従業員300人以下または資本金9億円以下の事業者

信用金庫から融資を受ける際は、信用金庫の会員になったうえで資金の使途や返済能力、借入する人物の信用度などが判断基準となります。

融資を受ける手続きの流れとして、一度信用保証協会を通す必要があります。そのため、審査に3週間~1ヵ月の時間が必要です。

信用金庫は銀行と比較して財源に限りがあるため、融資限度額が控えめであるというデメリットがあります。しかし、地域密着だからこそ小規模事業でも積極的に融資を行ってくれる傾向にあります。

地域創造的起業補助金

地域創造的起業補助金は、雇用や需要の繁栄により経済の活性化を目的とし、新しく事業を起こすものに対して経費の一部を助成するというものです。補助金の上限額は最大200万です。

〈補助金額〉

外部資金調達がない場合 50~100万以内
外部資金調達がある場合 50~200万以内

補助対象となる経費は以下の通りです。

経費区分 経費内容
人件費 人件費
事業費 謝金、旅費、設備費、会場借料費、広報費、外注費
委託費 委託費

地域創造的起業補助金は開業前に申し込める補助金です。補助を受ける場合は、「事業計画書」が特に重要視されます。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が持続的に事業を行うため、販路開拓や生産性向上に取り組むための費用を支援するものです。

日本商工会議所や全国商工会連合会が実施しており、事業計画書、創業計画書を作成し申し込みをすれば、50万円の補助金を受け取ることができます。

対象者は、商工会もしくは商工会議所管内地域内で事業を営む「小規模事業者」、一定の要件を満たした特定非営利活動法人です。

小規模事業者持続化補助金は、その名前の通り「小規模事業」に支援を行っています。支援の条件は、従業員が20名以下もしくは5名以下という規定があります。

〈小規模事業者の定義〉

事業内容 従業員数
商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く) 5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 20人以下
製造業その他 20人以下

エステサロンはサービス業に該当するため、従業員数が5人以下である場合や従業員を雇っていない場合に支援を受けられる可能性があります。

エステサロンの販路開拓にあたっては、ホットペッパービューティーの活用や、ホームページの立ち上げなどが挙げられます。しかし、これらを全て自分自身で用意するのは難しいので、プロのデザイナーや制作会社などに外注をすることも十分に考えられます。

小規模事業者持続金の支援を受けることができれば、経費の負担を軽減しながら広告を用意することができます。小規模事業者持続金の詳細は公式サイトで確認できます。

個人借入

個人借入は事業として借入を行うのではなく、個人として資金を借りることです。

事業のための資金として使用するケースもありますが、用途が事業資金以外に使われる場合もあるため金融機関によって利息が異なります。一貫して利息は高い傾向にあります。

個人借入を行っている代表的なものは「消費者金融」が挙げられます。個人借入は、無担保で貸付を行うことも少なくないため手軽に借入が行えます。

しかし、利息が高い上に個人借入は「負債」なため融資を受ける場合も自己資産とはみなされません。

家族や知人からお金を借入することも「個人借入」にあたります。事業資金のためといえ、知人や家族にお金を借りるのは多少の抵抗もあることでしょう。

家族や知人からお金を借りる場合、金融機関のように審査がありません。利息についても双方の話し合いで決定することが大体でしょう。

しかし、信頼関係があるからと言って返済の期限を守らなかったり、事業が失敗し返済できなかった場合はお金を借りた相手に多大な迷惑をかけることとなります。最悪の場合、関係性にヒビが入り疎遠となる可能性も十分に考えられます。

資金調達する際の注意点

資金調達する際の注意点

「おすすめの資金調達方法」ではおすすめの資金調達方法を解説しました。これからエステサロンの開業のため資金調達を行うという方には、いくつか注意するべき点があります。

見せ金は通用しない

「見せ金」とは、自己資本金を大きく見せることをいいます。

融資を受ける際に自己資本金を多くし「資金力がある」と金融機関に見せ、信頼を勝ち取ろうとする経営者がいるようです。しかし、これは債権者や関係者を欺く行為であり、違法にあたります。

日本政策金融公庫などの金融機関に見せ金を使って、自己資本金があるかのように装ってもすぐにバレてしまいます。見せ金がバレてしまうと虚偽の報告を行ったとして、融資を受けることはできなくなります。

運転資金も用意する

エステサロンの開業に必要な資金は、開業資金だけではありません。開業後すぐは家賃、光熱費、消耗品などさまざまな出費があります。

これらの出費を補うためには「運転資金」を用意する必要があります。開業時は、開業資金だけではなく運転資金も用意しておきましょう。

生活費の用意も忘れずに

エステサロンを開業してすぐに沢山の集客ができれば資金繰りも上手くいくので、自分自身の手元にもお金が残ることでしょう。

しかし、開業直後は資金繰りが軌道に乗らないケースも考えられます。開業前にきちんと自分自身の生活費も確保していなければ後々自分の首を自分で占めることとなるため、生活費は別途で確保しておく必要があります。

必ずしも融資を受けられるとは限らない

金融機関から融資を受ける場合は必ず「審査」を受ける必要が出てきます。

審査では主にこのような点がチェックされます。

  1. クレジットカードやローンの返済状況
  2. 過去の公共料金の支払いの遅延
  3. 税金の支払いの遅延
  4. 自己資産
  5. 経営計画
  6. 面接態度

これらを全てクリアできれば融資を受けられる確率は高まります。しかし、これまでの支払い状況や遅延などから審査で落とされるケースは少なくないようです。特に日本政策金融公庫の融資審査の基準は厳しく通過率は50~60%とされています。(※)

そのため、融資を考えている場合はひとつに絞り込まずに審査に落ちた場合はどうするのかということも考える必要があります。

開業がゴールじゃない!開業後に気を付けたい経営ポイント

開業がゴールじゃない!開業後に気を付けたい経営ポイント

エステサロンに限定したことではありませんが「開業」したからといって、成功とは言い切れません。

経営を続けていく中で、資金繰りが上手くいかずに倒産へ追い込まれる可能性も十分に考えられます。そこで、開業後に気を付けたい経営ポイントを紹介していきます。

価格勝負を控えること

競合のエステサロンが価格を下げて営業をしたとしても、同様の策を取るのは控えましょう。

“競合のエステサロンが価格を下げたので自分のエステサロンも対抗して価格を下げた”という場合、一時的にお客さんの数は増加するかもしれません。

しかし、価格を下げたことで得られる収益が減ります。今までのような収益を得るためには、これまで以上に数をこなす必要が出てきます。

すると、最終的には忙しい割に収益が上がらない…という悪循環が発生します。それでは、お客さんへのサービス内容やクオリティにも問題が出てくることが考えられます。

競合のエステサロンが価格を下げたとしても同様の策を取る必要はありません。価格で勝負をするのではなく、自分自身のエステにしかない“売り”で勝負をしましょう。

リピーターを掴む

エステサロンに限定したことではありませんが、新規のお客さんを獲得するのは比較的に容易かもしれません。

例えば、割引価格でサービスを提供したり、新規限定の特典を付けるなどで集客をする方法があります。

しかし、リピーターをつけなければエステサロンの収益をアップさせることはできません。どうすればリピーターをつかむことができるのでしょうか?

ポイントカードを作る

ポイントカードや会員カードは、固定のお客さんをつけるために使われる方法です。お得感のあるポイントカードならリピートして来店してくれるお客さんもいることでしょう。

ただし「20回の来店で500円引き」などお得感のないポイントカードではお客さんにとってのメリットが少なすぎるため、その点の回数や割引価格などに注意しましょう。

カウンセリング力を高める

エステサロンに来店されるお客さんの多くは身体に何らかの悩みを抱えています。そのため、エステティシャンがお客さんの不安要素や悩みをきちんと聞くことも重要です。

エステティシャンであるあなたがお客さんの相談相手となり、不安や悩みを一緒に考えてくれるというだけでもエステサロンへのリピートにつなげることができます。

DMを送る

DM(ダイレクトメール)を利用しているエステサロンは少なくありません。ダイレクトメールには郵送とネットの2種類があります。

ダイレクトメールは、来店のお礼やお客さんの誕生日などで送ります。特に来店のお礼メールは、リピートにつなげやすい傾向にあります。来店後に心を込めたダイレクトメールを送ってみてはいかがでしょうか。

お金の管理を徹底する

閉店に追い込まれるエステサロンの理由ベストのひとつに「お金の使い方を間違えたがランクインしています。(※)

エステサロンを経営する上でお金の動きがどのようになっているのかを把握するのは非常に重要です。大体の計算や適当に帳簿をつけるのではなく、どこにいくらお金が支払われているのかを把握しましょう。お金の動きを見ながら削れそうな部分を削り、経費を見直します。

また、日ごろから正確にお金の動きを帳簿に記載していないと確定申告時期になって自分自身が慌てることになります。

さいごに

本記事では、エステサロンの開業方法や必要な資金、資金の調達方法について解説しました。

エステサロンを開業するまでの道のりは決して簡単なものではありません。しかし、開業費や運転資金、生活費などをきちんと計算して用意することができればスムーズに準備をすることができます。

開業資金が足りない場合は、金融機関からの融資や各団体、国が実施している助成金を受けるのも選択肢のひとつです。

エステサロンを開業した後の経営方法です。開業直後は「赤字」が続き大変な思いをするかもしれません。安定した収益を得られるように自分自身で試行錯誤をしてみましょう。

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