エステ脱毛か医療脱毛か?自己処理を含めた家庭脱毛か?現役医師が脱毛方法の選択について解説

本記事では、医療脱毛やエステ脱毛における脱毛方法の違いについて、自己処理との比較についても合わせて述べ、項目別に紹介します。

医療者の立場から、毛髪や脱毛に関する正しい知識を整理し、お客様のスタイルにあった脱毛方法をサービスとして納得して快く受けていただくことを目指しています。

この記事でわかること

・現役医師から見た各脱毛方法のメリット、デメリット
・各脱毛方法の選び方

吉川博昭

執筆者医師プロフィール

保有資格:麻酔科専門医・日本医師会認定産業医

大阪府出身。帝京大学医学部卒業。医師免許取得後は麻酔科を専攻し、医療機関で臨床業務に携わる。近年は美容領域・生活習慣病にも注視し、「健康を通じたハッピーな生活をお手伝いしたい」ことをテーマに日々診療に携わる。レジーナクリニックや武南病院付属クリニックで皮膚科や美容の診療の経験があり、現在は関西を中心に複数の医療機関で診療を行っています。

自己処理以外の脱毛方法には、医療脱毛とエステ脱毛の2つの選択肢があります。使用する機器、施術費用などが異なるものの、一般の方にその違いを正しく説明できる人は意外にも少ないのが現状です。

本記事で脱毛方法についての正しい知識、それぞれの脱毛方法の特徴などを比較し、脱毛方法選びの参考にしてください。

脱毛に関する用語の説明

毛周期とは

毛には毛周期があり、「成長期」・「退行期」・「休止期」のサイクルがあります。サイクル毎のそれぞれの期間は体毛の各部位により違いがあります。「成長期」は、毛母細胞が活発に分裂をくり返し毛が成長し皮膚の表面に伸びてくる期間です。「退行期」は成長し終えた毛と毛乳頭が完全に離れるまでの期間で、「休止期」は毛が自然に抜け、毛乳頭が皮膚の中で休んでいる期間です。レーザー脱毛が奏効するのは「成長期」の毛のみです。

永久脱毛とは

永久脱毛の定義は、米国電気脱毛協会(AEA)によると「最終脱毛から1ヶ月後の毛の再生率が20%以下であればよい」とされています。従って、医療脱毛を受けたからといって毛が1本もなくなるのではないため、「永久減毛」という表現が正確かもしれません。

人気の高い脱毛部位

脱毛の部位別で言うと、女性なら脇や腕・足・VIO(ハイジニーナ)・顔、男性なら髭が圧倒的に人気の部位です。衣類を着ていても見える部位や、丁寧な毛の処理によって、清潔感やエチケットを感じさせる箇所が人気です。

日々の手入れの煩雑さを解消するために全身の医療脱毛をする人も増えてきています。人気の高い脱毛部位において、それぞれの特徴を部位別にまとめてみます。

脇は皮膚が薄く、身体の中でも特にデリケートな部位です。自己処理では、黒ずみや埋没毛の原因になりやすい部位です。また、脇は汗腺が多くムレやすい部位のため、雑菌が増えやすくなり匂いの原因になります。脱毛により、脇の匂い解消につなげられる、というるメリットもあります。

脱毛することで腕の毛穴が引き締まって見え、肌がキレイに見えたり腕を露出する服装に自信が持てるようになります。この部位の毛がVIOや男性のヒゲのように濃すぎる人は少なく、痛みや肌トラブルなども比較的軽微で施術可能でしょう。

VIO(ハイジニーナ)

生理時期の衛生面は言うまでもなく、温泉や海水浴などにおいて、直前に自己処理をする手間が省けます。また近年、将来介護されることが必要になった時の備えとしてのメリットが注目されています。

濃い毛がないため脱毛において軽視されがちな顔ですが、うぶ毛は存在します。うぶ毛の脱毛により、化粧の肌へのなじみや顔色が良くなり好印象につながるメリットがあります。また、清潔感を保ちやすくなりニキビや吹き出物の毛穴トラブルへの効果も期待できます。顔も濃い毛が少ないので、脱毛による痛みは比較的少ないのも特徴です。

ヒゲ

特に男性の濃いヒゲは毎日の処理を必要とします。脱毛によりその手間や怪我のトラブルを避けることが可能です。脱毛により日々の手入れが楽になり時間を有効に使えるばかりか、他人からも清潔感を評価され印象アップが期待できるかもしれません。

エステ脱毛

エステ脱毛

エステ脱毛とは

「光脱毛」とよばれることも多いです。毛根に不可逆なダメージを与えない毛の成長を抑制する成分を含むジェルを脱毛箇所に塗布し、その上から光を当てて脱毛します。

キセノンフラッシュを光源とする機器を用いたIPL脱毛が行われているケースが多いようです。ただし、エステ脱毛はあくまでも「医療行為」に該当しない範囲で行う必要があるため、毛根を破壊しない低めの出力数で行われています。

エステ脱毛は除毛?減毛?制毛?

エステ脱毛では、「除毛」・「減毛」・「制毛」という言葉が使われます。「除毛」は、元々ある毛を除く意味で理解しやすいでしょう。一方、「減毛」とは生える毛が減ることで、毛根はダメージを受けているという点が特徴です。

エステ脱毛では毛が新しく生えてくるのを抑制・制限する意味で「制毛」という言葉を使っています。従って定期的な処置を受けなければ、また生えてきてしますます。脱毛効果はあくまでも一時的で、何も手入れしなければ毛周期に合わせて元に戻ってしまいます。

エステ脱毛のメリット

脱毛効果は一時的ですが、費用は医療脱毛より安価で日々のお手入れが楽になることや、出力数が低いため熱傷や発赤などの皮膚トラブルや施術中の痛みが少ない点が特徴です。 結婚式の参列など、大きなイベントへの備えに対する脱毛として特に人気があります。

エステ脱毛のデメリットと注意点

厚生労働省医政局医事課長通知において、「用いる機器が医療用であるか否かを問わず、レーザー光線その他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部に照射し、毛乳頭・皮脂腺開口部等を破壊する行為」について医師以外が行なった場合、医師法17条に違反すると定められています。

また、毛周期や脱毛、施術によるトラブルに対する処置への十分な知識を持つ有資格者のいないエステでの脱毛は、リスクが高い選択であることは認識として持つべきです。

またエステ脱毛で熱傷や皮膚トラブルを経験し、医療脱毛に切り替える方も事実として少なくありません。

「エステ脱毛は照射出力が低く皮膚トラブルや痛みなどは少なく値段も安価」というのはカウンセリングでの常套句ではありますが、その判断は個々に委ねられていることは忘れてはなりません。

医療脱毛

医療脱毛

医療脱毛とは

「医療脱毛」は医療機関でしか取り扱いができない高出力脱毛のことを指します。医療脱毛(レーザー脱毛)は、医学的根拠に基づいた安全が確立された医療行為です。毛根(毛を生やそうとする細胞組織)を破壊し、毛の再生を防ぎ長期的な脱毛効果を得ることが可能となり、希望部位の脱毛効果を短期間で実感することが可能です。

医療脱毛は永久脱毛か?

医療脱毛の施術を数回受けることで、「永久脱毛」の効果を得ることができます。しかし永久脱毛の定義が「一定期間、ムダ毛の少ない状態を維持できる脱毛」のことで「永久に毛が一生生えてこない」ことではないことに注意が必要です。日々の手入れの手間が格段に省けることは言うまでもありません。

医療脱毛のメリットとデメリット

医療脱毛のメリット

多くのクリニックでは複数の脱毛機を用い、肌への負担を最小限に留めるとともに、永久脱毛(すなわち長期的な減毛)を体感できます。また、医師がひとりずつ丁寧に診断した上で施術を行うため、肌トラブルやアフターケアについて心配な方も安心です。

医療脱毛のデメリット

エステ脱毛と比較すると、費用が高額になる点や効果が強力な分、痛みが強いという点がデメリットとして挙げられます。ただし、麻酔薬の使用など医療対応が可能です。

自己処理のメリットとデメリット

自己処理のメリット

自己処理のメリットは、時間と場所を選ばず自分のスタイルに合わせて脱毛できる点です。、家庭用脱毛器は、簡便で予約の煩わしさを避けることができます。

自己処理のデメリット

デメリットは、怪我のリスクやまとまった時間の確保、思わぬ皮膚トラブルや感染のリスクにもある程度自己で対応しなければならない点です。家庭用脱毛器も部位によっては使用しづらく、完成度が低くなってしまう点などはデメリットと言えます。

脱毛についての良くあるQ &A

脱毛についての良くあるQ &A

脱毛はしたいが、脱毛方法のカウンセリングに行くと勧誘されそうで怖い。
カウンセリングは、自分の求めている知識を提供してもらい相談にのってもらう場です。クリニックやサロン問わず、強引な勧誘で契約をさせようとする施設は近年減少傾向にあります。
しかし中には、未だに執拗な勧誘行為を行うサロンやクリニックも少なからず存在します。顧客が不快に思うような対応をする施設での契約はのちにトラブルとなるケースが多く、可能な限り避けた方が良いでしょう。
エステ脱毛における、追加施術の料金などが心配です。
エステ脱毛では毛周期に合わせた通院が必要になります。追加施術に関しては極めて安価にしているエステやサロンもあります。最初から各施術コースの費用を確認するようにしましょう。
白髪など、黒髪以外の脱毛は可能ですか?
可能な施術方法もあります。細い針を毛穴に挿入し、一瞬電気を流すことによって毛根の細胞にダメージを与え、脱毛します。ニードル脱毛という医療脱毛の手法で、効果や安全性も実証されています。
埋没毛にも脱毛効果はありますか?
あります。埋没毛には永久脱毛状態を作ることができる医療脱毛を受けましょう。レーザーはすでに埋もれてしまった毛に対しても効力を発揮します。自己処理を継続することはさらなる悪化の可能性を高めます。
全身脱毛か、特定部位のみの脱毛か悩んでいます。
無料体験などのコースの用意のあるところもあるので、まず特定部位で効果や痛みを実感してから、全身脱毛を行うのも良いかもしれません。自分自身にあったカウンセリングでプランなどを提案できます。
妊娠中や妊娠の可能性のある時期の脱毛については可能ですか?
妊娠中の脱毛は不可能です。コースの途中でも、中断が必要になります。妊娠の可能性がある場合は、脱毛の契約の前にその確認を自身で行うようにしましょう。
何回くらい通うと脱毛が実感できますか?
毛周期には個人差があるためあくまで目安ですが、クリニックでの医療脱毛の場合は2~3ヶ月に1回の頻度で、4~6回で終了します。通常1年~1年半程度で永久脱毛の効果が得られることが多いです。エステ光脱毛では、毛周期や肌状態を確認しながら1~2ヶ月に1回、6~12回で毛が目立ちにくくなります。ただし、永久脱毛ではないため以後も毛周期に合わせて定期的に通うことが必要です。
ワクチンの予防接種に関連して避けた方が良い期間などありますか?
明確な定義はないですが、免疫学の観点から前後4~7日間は脱毛を避けた方が無難です。各サロン、クリニックに確認してみてください。
エステ脱毛で皮膚トラブルが起こった場合の治療は?
エステ脱毛サロンには、一般的に医師は常駐していません。医療機関と連健しているサロンもありますが、基本的には自分で皮膚科にかかるなどの対応が必要です。
施術中の痛みは強いですか?対処はできますか?
痛みの感じ方には個人差があります。医療脱毛の方が効果も強い分痛みを伴うことが多いですが、医療脱毛は医師により、その部位に麻酔薬などを使用することが可能です。エステ脱毛の痛みは比較的マイルドですが、医療機関ではないため麻酔など医療行為には対応できません。

さいごに

いかがでしたでしょうか?露出の多い衣類を着る季節に向けて脱毛を考えている女性や、ヒゲを脱毛したい男性は多いと思います。

エステ脱毛か医療脱毛か自己処理か?それぞれメリットデメリットがあります。毛髪や脱毛に関して、正しい知識を得ることで施術前カウンセリングをより有意義なものにし、満足度の高く納得できる施術を受けることを目指しましょう。

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