ヘアアイロンによる痛みが気になる方に向けて主に下記について紹介します。
・ヘアアイロンで髪が痛む理由
・髪の毛が痛みにくいヘアアイロンの使い方
・おすすめのヘアアイロン
髪の毛の仕組み
髪の毛は芯の部分であるメデュラ(毛髄質)、メデュラを覆うコルテックス(毛皮質)、表面部分を覆うキューティクル(毛小皮)の3つの成分でできています。
- メデュラ(毛髄質)
- コルテックス(毛皮質)
- キューティクル(毛小皮)
メデュラは髪の毛の芯の部分で、髪全体の0~5%を占めています。柔らかいたんぱく質と脂質でできている成分であり、髪の強度や弾力に関係しています。
コルテックスは髪の中間部分に存在し、髪全体の85~90%を占めています。たんぱく質や水分、脂質、メラニン色素を含んでおり、健康的な髪質を保つためには欠かせない成分です。髪の強度、弾力、太さ、色に関係しています。ブリーチやカラーを頻繁に行うと、コルテックスが徐々にダメージを受け髪が本来持っているツヤ感を失います。
キューティクルは髪の毛を覆う一番外側にある成分で、髪全体の10~15%を占めています。キューティクルは、魚のうろこのように何層にも重なっており、髪を紫外線や乾燥から守り、髪の内側の水分や栄養素を保持してくれます。ただし、繰り返されるカラーやパーマによりキューティクルが剥がれ落ちると髪の毛がパサつき、広がってしまいます。
髪の毛が生える仕組み
髪の毛が生える仕組みには、下記の毛根下部の組織が関わっています。
- 毛乳頭:血液中から栄養を受け取り、毛母細胞に供給する組織
- 母細胞:毛乳頭から栄養をもらい細胞分裂を繰り返し、髪を作る組織
- 毛包:毛根を取り囲む組織
- 毛球:毛が作られる組織。毛母細胞と毛乳頭が存在します。
髪が生えるまでの流れとして、まず毛乳頭が「毛を作ってくれ」という指示命令と共に毛を作るために必要な栄養素を毛母細胞へと渡します。
栄養をもらった毛母細胞は、24時間フル稼働で細胞分裂を行います。細胞分裂を繰り返し、押し出されて髪の毛として生えてきます。
ヘアサイクル
髪の毛は、成長期→退行期→休止期の3つの流れで成長します。このサイクルのことを「毛周期」といいます。簡単にまとめると、髪の毛の生え変わりのことです。
- 成長期:髪の毛がグングン成長し、伸び続けます
- 退行期:伸び続けた髪の毛が成長をやめます
- 休止期:髪の毛が抜けます
健康的な髪は、3~6年でヘアサイクルを一周します。寿命を迎えた髪の毛は抜け落ちて、次の成長期に向けて準備を開始します。
髪が傷む理由
髪が痛む理由は、どのようなものがあるのかチェックしてみましょう。
ヘアカラーやブリーチ
ヘアカラーやブリーチは、カラー剤を髪の毛内部に浸透させて色付けをします。カラー剤には、キューティクルを剥がす成分が含まれていることもあります。キューティクルが剥がれると、髪のツヤ感がなくなり傷みやすくなります。
特にブリーチは、キューティクルを開き髪の毛の元の色を脱色させます。さらに、脱色させた髪の内側に色素を定着させる方法なので、通常のカラー以上に髪が傷みやすくなります。
パーマや縮毛矯正
パーマや縮毛矯正は、カラー同様に一度キューティクルを開き、髪の内側にあるアミノ酸の結合部分を切断し理想の形に再結合させています。そのため、髪が傷みやすくなります。
自然乾燥
キューティクルは、濡れると開く性質を持っています。キューティクルが開いた状態の髪の毛は、髪の毛の水分が蒸発して乾燥しやすい傾向にあります。
さらに、自然乾燥は殺菌の繁殖によるかゆみやニオイの原因にもなりかねません。シャワーをした後はできるだけ早く髪を乾かしてあげましょう。
紫外線
紫外線は、髪の毛の表面にあるキューティクルを刺激します。「キューティクルって髪の毛を守る組織じゃないの?」と思った方もいるかもしれませんが、キューティクルだけで全てをシャットアウトできるわけではないのです。
紫外線は、キューティクルをすり抜けて髪内部のメラニンを分解します。そのため、健康的な髪の毛でも紫外線の影響で赤茶っぽい色に変化していきます。
髪の洗い方に問題がある
シャンプーは髪をキレイに保つためには欠かせませんが、シャンプーの仕方によっては髪を傷める原因になりかねません。
前述したように、キューティクルは水に濡れると開いてしまう性質を持っているため、キューティクルが開いた状態で爪を立ててゴシゴシ洗ってしまうと髪の毛が傷みます。
ヘアアイロンで髪の毛が痛む理由
ヘアアイロンも髪が傷む代表的な理由のひとつです。どうしてヘアアイロンは髪の毛が傷むのでしょうか?ヘアアイロンを毎日使用している方はチェックしてみましょう。
摩擦によるキューティクルのダメージ
キューティクルは摩擦に弱いという性質を持っています。
ヘアアイロンを使用するとプレートと髪の毛の間で摩擦が起き、キューティクルが剥がれてしまいます。
特に使い方が悪いと髪の傷みが悪化し、ザラザラ、ぱさぱさな髪質になってしまいます。ヘアアイロンを使用する場合は、摩擦の少ないヘアアイロンを使うか、極力摩擦を起こさないようにすることを心がけましょう。
熱によるダメージ
髪の毛は8割がタンパク質で作られています。
ヘアアイロンによる熱は、タンパク質が引き寄せられて固まってしまう傾向にあります。この現象を、タンパク変性といいます。タンパク変性が起こると、髪の毛のタンパク質があるところとないところができてしまい空洞状態となる部分ができてしまいます。
髪の中が空洞状態になることでタンパク質のバランスが悪くなり、髪を濡らすと空洞になった部分から髪に必要な栄養素や水分が漏れてしまうのです。結果、髪の毛のダメージがどんどん広がります。
タンパク変性は、乾いた状態の髪だと150℃以上、濡れた髪では60℃から起こります。ヘアアイロンの一般的な温度は約180℃前後なので、必ずといっていいほど髪の毛にダメージを与えていることになります。
濡れ髪によるキューティクルのダメージ
皆さんはヘアアイロンを使用する前に髪を乾かしていますか?濡れているときの髪の毛は、キューティクルが開き無防備な状態です。
ただでさえも無防備で負担のかかりやすい状態の髪の毛にヘアアイロンを使用すると、髪の中の水分が蒸発してしまい髪がとても傷みます。
特に濡れた髪の毛は熱を通しやすくするため、髪が乾いた状態の時よりもさらに髪を傷めやすくします。
ヘアアイロンを使用する際は、ドライヤーできちんと髪を乾かしてから使用しましょう。
髪が傷みにくいヘアアイロンの使い方
ヘアアイロンを使用する際、とりあえずストレートになればいい、巻ければいいと思っている方は多いのではないでしょうか?正しく使用しないと時間の経過とともにカールが取れたり、髪が傷む要因となります。正しいヘアアイロンの使い方をチェックしましょう。
- ブラッシング
- スタイリング剤を塗布する
- ブロッキング
- ヘアアイロンをあてる
キレイなスタイリングを作るために重要なことは、髪を根元から毛先までまっすぐにブラッシングすることです。ヘアアイロンをあてる前にブラッシングをすると、髪の絡まりをほぐし、キレイなスタイリングを作ることができます。
ヘアアイロンをあてる前にスタイリング剤やトリートメントを塗布することで、ヘアアイロンの熱ダメージから髪を守ることができます。スタイリング剤には、オイルタイプ・ミルクタイプ・ミストタイプがありますが、オイルタイプは髪を焦がしてしまう危険性があるため使用を控えましょう。髪全体にスタイリング剤を塗布し、髪が乾いたらヘアアイロンを使用します。
画像のように分割したブロッキングを行います。毛量に応じて髪を分けましょう。
キレイなスタイリングを作るためには、均等に熱を与えることが大切です。ヘアアイロンで髪を挟む際に髪の毛の束が大きいと、ヘアアイロンに密着する外側だけが高温になるのに対して内側は熱が伝わりにくくなります。ブロッキングによって1回にヘアアイロンをあてる毛束が少なくなることで、アイロンの熱を均等に通すことができます。
ヘアアイロンの電源を入れ、160~180℃の温度設定を行います。ヘアアイロンをあてる順番は、下→真ん中→上の順です。
ストレートにする場合は、根元から毛先に向かって下向きに下ろしていきます。カールを作る場合は、ヘアアイロンをコテで一回転させて髪を滑らせながら巻きつけます。
ストレートのヘアアイロンを使用した後は、ドライヤーの冷風で仕上げましょう。冷風を当てることでキューティクルが引き締まり、サラサラ感が増します。ストレートを長持ちさせたい方におすすめです。カールの場合は最後に巻いた毛束を軽くほぐし、ナチュラルに仕上げるのがおすすめです。
ヘアアイロンによるダメージを軽減するためのポイント
ヘアアイロンによる熱や摩擦は、髪を傷めてしまいます。しかし、ヘアアイロンの使い方を工夫することで、ダメージを軽減することが可能です。ダメージを軽減するポイントを紹介します。
ポイント①:温度は150~160℃で使用する
ヘアアイロンは冷えた髪の毛に使用するため、使い始めは約50℃ほど温度が下がる傾向にあります。100℃前後の低温でアイロンをあてると、カールやストレートが付きにくくなります。思い通りにならないからと何度も同じ部分に熱を加えると、今度は髪の毛に負担をかけてしまいます。
一発で熱を通すためには、ヘアアイロンの温度を150~160℃で設定することがおすすめです。適した温度でヘアアイロンをあてると一回でスタイリングが決まり、ヘアダメージを抑えることもできます。さらに、キープ力もアップするので理想の仕上がりを目指せます。
ポイント②:ヘアアイロンを同じ場所にあてない
ヘアスタイルを意識しすぎて同じ場所にヘアアイロンを長時間あてることはありませんか?ヘアアイロンを同じ場所にあて続けると、熱で髪の毛がチリチリになってしまいます。焦げてチリチリになった髪の毛は、元に戻りません。
ヘアアイロンをあてる時間は、ストレートアイロンなら170度で2~3秒。カールアイロンなら150度で3~5秒を目安にしましょう。
ポイント③:髪を引っ張らない
ストレートアイロンを使用する際に、髪を真っすぐにしたいあまりに力いっぱい挟んで引っ張ることはありませんか?アイロンで髪を挟み、強めの力で引っ張る行為は、抜け毛や切れ毛の原因になりかねません。
また、ヘアアイロンを髪に挟む際に力を加えると、髪に段差が付き見栄えも悪くなります。ヘアアイロンを使用するときは、根本から毛先まで優しくあてましょう。
傷みにくいヘアアイロンの選び方
ヘアアイロンを使用する以上は、髪の毛へのダメージは避けられないものです。少しでも痛みを軽減できるようにヘアアイロンを工夫してみてはいかがでしょうか?
プレート素材から選ぶ
ヘアアイロンの髪を挟む部分のことをプレートといいます。代表的なプレートの素材は、テフロン、チタン、セラミックです。
素材名 | 特徴 |
---|---|
テフロン | ・摩擦係数、0.08~0.12 ・摩擦が少ないため髪へのダメージを軽減できる ・耐久性が低くコーティングがはがれやすい |
テフロン | ・摩擦係数、0.59 ・摩擦が少なく髪の滑りもいい ・チタン素材は値段が高め |
セラミック | ・摩擦係数、0.2 ~ 0.5 ・熱伝導率がいいのでプレートが温まりやすい ・テフロンやチタンに比べて髪への摩擦が起きやすい |
プレートの素材によって特徴が異なります。素材の性質を理解し、髪が傷まないアイロンを選びましょう。
また、セラミックのアイロンを購入する場合は、髪へのダメージを軽減するヘアケア機能があるのかどうかもチェックしてみましょう。
温度調整があるヘアアイロンを選ぶ
日によって体調が良い日や悪い日があるように、髪の状態も湿度や紫外線、乾燥などの影響で日によって変化します。そのため、ヘアアイロンの温度も髪の調子や変化に合わせて調整する必要があります。
クセが強く出ているときは、高温でセットするのが最適です。逆に髪が傷んでいるときは髪を労り低温で仕上げるのが良いでしょう。髪の状態、傷み具合などから温度調整を細かく行えるアイロンがおすすめです。
機能が充実している
ヘアアイロンは、180℃前後の熱を髪の毛に当てて髪の毛をセットするため、どうしてもダメージがかかりやすいです。髪のダメージを少しでも軽減したい場合は、スチーム付きやマイナスイオン付きのダメージケア機能がついている商品がおすすめです。
- スチーム付き:蒸気の作用で静電気や乾燥した髪の摩擦を抑制し、髪に潤いを与える
- マイナスイオン付き:微細な水分子がキューティクルに浸透し髪に潤いを与える
スチームやマイナスイオン機能が搭載されたヘアアイロンなら、ケアしながらヘアアレンジすることが可能です。
ダメージの少ないヘアアイロン一覧
ヘアビューロン 4D plus
商品名 | ヘアビューロン 4D plus |
---|---|
温度調整 | 約40℃〜180℃ |
髪型 | ストレート |
ヘアビューロンは、独自技術のバイオプラミングを搭載したヘアアイロンで、180℃の高温で髪の毛を挟んでいても、ちりちりになったりせず髪を美しく仕上げます。使えば使うほど髪の毛が美しくなるという魔法のようなヘアアイロンです。
40度の低温でも髪をストレートにできるので、くせ毛の度合いを見て中温・高温と温度を変えて使用しましょう。
本体が約422.5gと他のヘアアイロンに比べて重めである点や、温まるまで少し時間がかかるというデメリットがありますが、熱を与えながらもツヤを手に入れられるのは大きなメリットです。
毛質も選ばずに使用できるため、ツヤツヤのストレートを手に入れたい方におすすめです。
KINUJO Curl ~絹女カール~
商品名 | KINUJO Curl ~絹女カール~ |
---|---|
温度調整 | 約100~200℃ |
髪型 | カール |
KINUJO Curl ~絹女カール~は、シルクプレートを採用したヘアアイロンです。
特殊な素材で作られたシルクプレートは、200℃の高温でも「水蒸気爆発」を起こしにくく保湿力を発揮します。そのため、髪の毛のツヤやコシを維持しながらカールを作ることができます。
最高温度は200℃まで設定でき、100~200℃まで10℃ずつ調整が可能です。細かい温度調整ができるので、髪の傷み具合や髪型に合わせて使い分けができます。
さらに、わずか30秒で150度までヘアアイロンのプレートを温められるのもポイントのひとつです。忙しい時間や急いでヘアアレンジしたい時もサクッと立ち上がってくれるのは魅力的です。
また、自動電源オフ機能も搭載しているため、うっかり電源を切り忘れた時も安心です。
多彩な機能と利便性に特化したヘアアイロンを使いたい方におすすめのヘアアイロンです。
Refa BEAUTECH CURL IRON 32mm
商品名 | リファ ビューテックカールアイロン |
---|---|
温度調整 | 約120~180℃ |
髪型 | カール |
美顔ローラーが人気のリファのカールアイロンは、カーボンレイヤープレートという独自開発のプレートを採用しており、髪の表面は乾いているのに内部は水分が詰まった質感を実現します。
また、カーボンレイヤープレートには高密度炭素が使われているため、髪全体にムラなく熱を加えることができ、キレイで立体的なカールを作ることができます。熱の伝わり方がマイルドなので濡れた髪に使用しても水蒸気爆発を起こしにくく、キューティクルに負担をかける心配がありません。
白を基調としたシンプルなデザインが上品で気に入っています。使い心地ですが、本体が非常に軽くプレートの滑りが良いのでとても使いやすいです。熱が髪の毛にじんわりと伝わっていくので、髪の毛を巻き付けたあとは少しキープすることをおすすめします。ふんわりと髪を巻きたい方におすすめです。
Dyson Airwrap styler
商品名 | Dyson Airwrap styler |
---|---|
髪型 | カール |
Airwrap stylerはDyson発のスタイリングアイテムで、1台でドライヤー、ストレートブロー、カールの3役をこなすマルチな商品です。
2サイズのカーラーが搭載されているので、ゆるふわカールもしっかりカールも思いのままにセットできます。髪が長い方でも短い方でもスタイリング可能なので、1台あれば家族全員でシェアできるのも特徴的です。
また、従来のスタイラーは過度な熱によるダメージが起きやすい傾向にありましたが、Airwrap Stylerはダイソン独自のデジタルモーター「V9」を採用し、風温は最高でも150℃で、熱に頼らないヘアアレンジを実現しています。
また、マイナスイオン機能が搭載されており髪の静電気を抑えてくれます。髪を労わりながら、カールもストレートも両方楽しみたい!という方におすすめの商品です。
HOLISTIC Cures カールアイロン
商品名 | HOLISTIC Cures カールアイロン |
---|---|
温度調整 | 150~190℃ |
髪型 | カール |
HOLISTIC Cures カールアイロンは、髪が元々持っている素材を内側からケアしながらカールを作れるヘアアイロンです。
アイロンのプレート部分には、自然界にある天然鉱石やミネラルをパウダー化して独自配合しています。そのため、ヘアアレンジしながら髪にツヤと潤い、そして弾力を与えてくれます。
パイプ部に弾力性に優れたシリコンラバーが搭載されているので髪に優しくフィットし、適度な力でスタイリングが行えるのも特徴的です。
さらに、150~190℃まで5段階温度調整が可能です。細かい温度調整ができるので、髪のコンディションやスタイリングに合わせて使用できます。
また温度上昇のスピードが早く、電源を入れて約45秒で使用できます。ヘアアイロンの立ち上がりが早い分、ヘアアレンジに時間をかけられるのも魅力のひとつです。
髪が本来持っている素材を内側からケアし、弾力のあるカールを作りたい方に最適な商品です。
さいごに
本記事では、髪の毛の仕組み、髪の毛が痛みにくいヘアアイロンの使い方、おすすめヘアアイロンを紹介しました。
ヘアアレンジをするときに必ずと言って良いほど使用するヘアアイロンは、髪の毛に熱を加えて、アレンジを行うため、ダメージを避けられません。
しかし、自分自身の髪質に合った機能を備えるヘアアイロンを使うことで、理想のヘアスタイル作りとダメージ軽減の両方を実現してくれます。
毎日使用する可能性もあるヘアアイロンだからこそ髪質に合ったヘアアイロンを選び、キレイな髪をキープしながらヘアアレンジを楽しみましょう。